可哀想な時計回り|かぞくのことば史027
かぞくのことば史(2019・1・27)
長男は来年から小学生だというのに、時計を読めないことがある。今度、パパと特訓だという話をしている場面で、メグさんが面白いことを言い出した。
「時計って教え方も難しいよね。時計回りとか、反時計回りとか、よくわかんないし」
「え」
「針がさ、数字と数字の間にあったらさ…」
「いや、そうじゃなくて、時計回りが難しいの?」
「うん、いつも混乱する。よくわかんなくなっちゃう。」
「なんでだよ!」
「例えばね、時計回りにその場で回れって言われたら、私の場合だったら、右に回ればいいんだよね?」
27日
「うん、メグさんの場合じゃなくても、みんな右回りだし、その場で時計回りに回れって指示はされることないと思うけどね笑」
りんちゃんは、自分が時計がうまく読めない話題から完全にそれたので、安心しているみたいだった。
車の中で子どもたちは寝てしまい、今夜は早々にメグさんは呑み始められそうだ。
メグさんは酒のつまみにDVDを観ている。今夜は、少し夜更かししちゃうぞという意気込みが感じられてカッコいい。
このDVDは、私が誕生日にプレゼントしたもので、飽きずに観てくれているのは嬉しい。単に好きだから観ているとも思うし、別の要因もあると思う。去年DVDと一緒に「ファンクラブに入っていいですよ券」と「もしチケットを取れたら私がお休みを取るので一人で行ってきていいですよ券」も実はおまけでプレゼントしている。そして、見事にチケットを勝ち取った彼女は、近日コンサートに向かう予定だ。きっと、気持ちを高めるためもあって、DVDを観ているのだと思う。逆に私の誕生日プレゼントは第7版の広辞苑で、まだ読み切れていないから、勝手にバツが悪い気持ちになってしまった。
さて、これほど楽しみのしているのに、子どもから風邪でもうつされて、外出できないなんてことになったら、この熱狂的ファンは平成史でも稀に見る暗黒の
私はあまり音楽に熱狂したことがない。例えば、バンドをやって楽器の練習を頑張ったり、好きなアーティストのコンサートに出掛けたり、そういう経験をしてこなかった。本を読むのは好きだし、何人かファンなんだよなぁと思う先生方が思い浮かぶけれど、どの先生も武道館でマイクは握らないし、ペンを握る姿のDVDは発売されない。なので、アーティストへの「ファン心理」と作家への「ファン心理」は、ちょっと違う気はしていた。
ただ、どちらにしても、時計回りについて理解することよりは、文化的で心が豊かになるとは思った。
時計回りは残りの人生をかけて妻に教えていくつもりだ。