ブログ「かぞくのことば史」

かぞくのエピソードは、忘れてしまうには寂しいから、パパ目線で切り取っていきます。全国のかぞくからのご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします!

ブッフェランチ|かぞくのことば史023

かぞくのことば史(2019・1・23)

決めていたわけではなく、流れでランチはブッフェにすることになった。次男の思わぬ発熱の連続で、どこにも出かけられないことが多かったメグさんは、おそらく、これは確認することは自殺行為なので、おそらくとしか言えないが、食べてストレスを発散させようと朝から決めていたのではないだろうか。

私が午前中だけの仕事を終えて、メグさんと顔を合わせるなり、アイフォンの画面を印籠のように見せつけ、「この印籠が目に入らぬか」ではなく、「今日はここへ行こうと思います」と決めゼリフ風に言うではないか。続く私のセリフは

「ははぁ〜〜〜」

しかないではないか。実際のところは「は、はぁ………。」だったか笑

しかしながら目的地がハッキリ決まっている外出は楽なもので、私は好きだ。特に食事の場所は、もし決まっていなければ、場合によっては喧嘩の火種にもなりかねない。そんな不安が今日は一切ないので、家族4人テンションも高くレストランに到着した。そして、これから話すことは、ファミリーにおけるブッフェあるあるだと私は確信している。

お弁当百景其の二|かぞくのことば史022

かぞくのことば史(2019・1・22)

横手、ひるぜん、富士宮。美しいソースの艶が絡んだ麺を、湯気と一緒に口へ放り込む。旨みが凝縮された濃厚な味わいとほのかに通り過ぎるフルーティな酸味。噛みしめるまでもなく、美味いとわかる。やきそばの醍醐味だ。

B級グルメなど言われているけれど、皆さんがそうやって謙遜されると、私の作る焼きそばなど、E級になってしまう。今、妻が読んでいたなら、「あなた作らないでしょうに。」とぼやかれているでしょう。すいません。なぜこんなことを書いたかといえば、今日、メグさんが作ったやきそば弁当が美味しかったからなんですけどね。

ではこの辺でタイトルコール。 『お弁当は作るものだし、食べるもの。作る側のお弁当の景色あれば、食べる側のお弁当の景色あり。愛情のあるものだから、(あると信じて笑)隅から隅まで味わおう。お弁当百景、さあ開幕。』

メグさんのやきそば弁当には、卵焼きが乗っている。基本的にいつもの曲げわっぱに入ってくるので、ウォールナット色の曲げわっぱに、ソース色のやきそばが入るだけだと、これはかなり茶色に支配された景色かもしれない。秋の低山と言ったところか。しかしそれも、黄身と白身が混ざり合った程よい厚さの卵焼きで覆われていると、景色がパッと明るくなる。秋の山は突如として、春の山に変わる。ソースとマヨネーズが卵の上で交差して、鮮緑の青のりが中央に咲く。最も重要なのは、お弁当を開けた時点では瞬時に卵の下に何があるかわからないことだと思っている。やきそばとは限らない。ソバメシもあり得る。なんならば、卵の下にたこ焼きが敷き詰められている危険性まではらんでいる。ちょっとしたワクワク感が楽しいのだ。入ったことのない居酒屋の暖簾を開けるように、私の箸は、卵をよけてみせる。するとそこには、はい、やきそばさん、こんにちは、はい、いただきます。である。

この日、曲げわっぱの北の方角には、豚バラで巻いたチーズ入りちくわのソテーが3つ並んでいた。南には紅生姜さんもいらっしゃっている。やきそばもちくわも、食べる頃にはもちろん湯気は出ていない。はふはふ言いながら、がっつくことはない。それでも、ソース、やきそば、卵、青のり、チーズ、ちくわ、豚バラ、紅生姜、どの点と点を線で結んでも、箸がとまらなくなる連鎖反応が起きる。

紅生姜は愛するあまり、少々早めになくなってしまったが、その他はいい感じのペース配分で箸を伸ばすことができた。最後の一本まで止まることなく口に運ばれたメグさんのやきそば弁当は、冒頭にあげたB級グルメやきそばにひけを取らないと思える。その味を独り占めできる幸福感と、曲げわっぱの蓋の裏についた、マヨネーズソースだけ残して、お昼休みはおわった。

堅やきそばにも、思い入れはあるけれど、それはまた今度。

風邪っぴきのいる夜は賑やかに|かぞくのことば史021

かぞくのことば史(2019・1・21)

先週に続き、早くも今年2度目の発熱、次男のそうちゃん。前回よりもひどい、39度の高熱。仕事を早めに切り上げて、家に帰った。熱のせいで、ぽわぁ~としてるかなと思いきや、必死で遊んでいる。寝てなさいと言っても、宿命のように遊び続ける。

インフルエンザの検査では、反応が出なかった。長男のスイミングなど、子どもの沢山いる場所に付き合ってるから、どうしても風邪をもらっちゃうのかもしれない。いちよう明日も病院で検査の予定だ。心配していると、情けないことに私の方がリビングで眠くなっている。瞼が重い。そうちゃんは私が目を瞑るのが嫌いだ。

「パパァ、起きて〜」 「パパァ、しゃべって〜」

もしこれでも私の目が開かない場合は、手動でこじ開けてくる。今夜は、まるで草むらをかき分けるように指を入れ込み気味にこじ開けてきたので、めちゃくちゃ痛い。痛いというか怖い笑。今ので感染したのではないかと思うほどに、鮮烈な恐怖だったので、もう潔く寝ることにする。

念のため(感染を最小限に抑えるため)、妻と次男はリビングで、私と長男は寝室で眠ることにした。リビングに布団を敷きながら、妻をを風邪菌の生贄に捧げる台座を作っているようで、申し訳なかった。メグさんの顔にも看病疲れが見えた。ありがとうメグさん。

逆に楽しそうなのは、長男。私を独り占めし、本を読んでもらおうという算段だ。こういう気合の入っているときは、まずお話ではなく、図鑑系のものを持ってくる。読みきれないっての。しかし彼の持っている「なぜ、どーして図鑑」はなかなか面白い。同じような内容の本は沢山あるので、比較はしていないけれど、「なぜ、寝る子は育つの?」とか「なぜ、毒を持った生き物がいるの?」など、着地に迷う疑問をちょうどいい塩梅で落としてくれるし、朗読というよりも、親子の会話になる本だから、おすすめだ。

大きくなったら|かぞくのことば史020

かぞくのことば史(2019・1・20)

子供のころ、大きくなったらパン屋さんになりたいと作文で書いていました。パンはとても好きだけれど、作るよりも食べるのが好きなんだって気づいたんでしょうね。特に大きなきっかけなく、「デザイン」「おしゃれ」「センス」など、アーティーな部分き引かれて美容師になることは決まっていきました。

長男の将来の夢は知っています。消防士になりたいらしい。どうやら幼稚園に本物の消防士さんが来てくれたようで、かっこよかったのだとか。私の子供なので、きっと二転三転、するのだろうね。

お客さんのお子様で、すごく可愛らしい女の子の将来の夢を聞きました。その女の子は「大きくなったら、海になるの!!」と熱望していて、波とともに大物になる予感が押し寄せてきます。お母さんにも「ママ、私が海になったら会いにきてくれる?」なんて聞いたりして、きっと沢山の人が会いにいきたくなるだろうなぁと温かい気持ちになりました。さらに面白いのは、「月は私のものなの」と主張していること。さすが、万物の母だね!!絶対大物になる!!! そういえば、長男も月を眺めて帰ったいつかの夜、私に言ったことがある。 「パパぁ、月ってさ、たぶん影なんだと思うよ」 「かげ?なんの影?」

「わからないけど、あれは月なんじゃなくて、月の影を見てるんだと思う」 「本物はどこにいるの?」

「りんちゃんもわからないんだよ、それが」

月って子供にとっては太陽よりも、ちょっと特別なのかもしれない。「よる」っていう怪しいシュチュエーションで、煌煌と透き通った光を帯びる。

一人の女の子にとっては、是が非でも所有したい宝石のような、一人の男の子にとっては、正体不明のファントムのような、人を魅了する力があるのかもと思った。 最後に大体予想はつくけど、念のため次男にも聞いてみた。 「大きくなったら、何になりたいの?」 「んー……、ティガ。(ウルトラマンティガ)」

でしょうね笑。月まで飛んで、正体を教えてくれよ、ティガ。

真夜中のアンフェア|かぞくのことば史019

かぞくのことば史(2019・1・19)

ベッドで4人が寝るのは狭い。ベッドと布団を使って自由に寝る方がベターである。子供たちの寝相の悪さを考えると、子供たちが単独で寝ることを覚え、2段ベッドを買うまでは、その方がいい。

今日は布団で子供たちが、ベッドで私たちが寝始めた。深い眠りに落ちた頃、次男が「ままぁ、どこぉ」と起き上がった。いつも通りベッドのママの隣に潜りこむのかと思ったら少し違った。「ウィザードは?ジオウは?」 抱きしめて寝たはずの仮面ライダーの名前を出し始めた。

「はいはい、ここにあるよ」 私は布団から、二つの仮面ライダーを拾い渡すと、次男は安心して眠り始めた、はずだった。声が聞こえる。大声ではないが、はっきりとしたトーンは寝言ではない。

「てやぁ~~、たたかいだ。とわとわ。へんしん!」 完全に起きて遊んでいる深夜2時半だ。メグさんと私は即座に寝かせにかかる。

「そうちゃん、ねんねだよ。」 「………」 「ねんね。」 「へんしん!」 「ちがう、ねんね。」 「ちがう、へんしん!」 「ちがくないわ!ねんね!」

しばらくの攻防、大抵こういった場合、寝落ちするのは私たちだ。

りんちゃんの声が、もう一度私たちを気づかせた。 「血が出てる??」 りんちゃんはたまに寝ている間に鼻血を出す。私たちはベッドから降りて、ティッシュを詰めたり、熱を確認したりした。そんな早朝4:30である。りんちゃんは、すぐにまた寝息を立て始めた。 ここから朝までの数時間、安眠が期待できるのはベッドのそうちゃんの隣ではなく、布団のりんちゃんのとなりだ。

私が布団に横になろうとしたそのとき、メグさんがベッドを指差す。

「私りんちゃん見ておくから、寝てていいよ。」 「…………。」 「ほら、待ってるよ。」 「…………。」

そうちゃんの押し付け合い劇場が開かれたりもする。ただ往々にして、我が家のフリーな睡眠スタイルは、4人が同じ布団で窮屈に集まって終わる。横の3人に布団を取られて、寒さに起きる。そんな起床6:30だ。

おしゃべりなたまごやき|かぞくのことば史018

かぞくのことば史(2019・18)

私の長男はピシッとできないことが多い。特に腕に力が入らない感じがする。体操のキメポーズも、Yの字で決めることが出来ず、ヤシの木の枝のように指先は垂れ下がる。なにか手を挙げる際も目立たないから指されないし、ブリッジしても頭がうまく上がらない。

今日は長男のスイミングを見学しに行った。久々の見学ということもあり、長男自身もいいところを見せようと意気込んでいた。意気込みは、単に意気込みで、イコール手がピンとするわけではない。今日も絶賛ふにゃふにゃ中だ。ビート板を使ったバタ足とビート板を外して息継ぎをする練習中、泳ぐ姿は、突き進む一本の枝というよりも、ゆらゆら進む木の葉のようで、なんとか向こう側にたどり着き、プールサイドに這い上がる。そしてまた、ゆらゆらと、こちら側に戻ってくる。プールサイドに上がるたびにゴーグルを外し、こちらの顔色を伺ってくる。正直、全然できていないが、私は親指を上に立て、息子に向けて掲げる。息子の顔はパッと明るくなって、おもちゃのように頷き、またゴーグルをはめる。いちよう私は腕を伸ばして見せて、「腕が縮んでいるぞ」と必死にジェスチャーしてはいるが、長男のことだ、「パパ、楽しそうだなぁ」と思っているだろう。

見学中、何度か「ありゃぁ、まだダメだなぁ」と本音を漏らしてしまったが、足元にいる3歳の次男はまだ告げ口ができないので、少しホッとした。長男には、出来ないことよりも、出来るようになったことに喜んで欲しいので、レッスンから戻った長男には今度リビングで練習しようとだけ伝えて、マイナス思考な話はしなかった。

「おしゃべりな卵焼き」という絵本がある。

あらすじはこうだ。ある王様がコックに、今日の夕ごはんは目玉焼きがいいと頼んだ。その日の散歩中、王様はカギのついたままの鳥小屋を見つけ、めんどりたちを全部逃してしまう。お城中は犯人探しで大騒ぎ。王様は知らんぷりするけど、慌てて鳥小屋のカギを持ったままだった。カギを窓から投げ捨てるとその様子を、部屋の隅で逃げためんどりが一羽、見ていた。王様はめんどりに言ったの「私が犯人ということは誰にも言うなよ!」って。お城の人が犯人探しを諦めた頃、コックは困ってるよね。めんどりがいなくて卵焼きが作れないから。だから王様は自分の部屋にいためんどりを渡して、そのたまごを使いなさいと命令しました。

クライマックスは夕ご飯。王様が目玉焼きをナイフで切ると、中から王様の声が聞こえてきました。「いいか?犯人が私ということは誰にも言うなよ!」めんどりが王様の声を卵に閉じこめて産んじゃったんだね。声入り卵の目玉焼きが王様が犯人と教えてくれました。

次男は卵を産まないはずだから、私の声が目玉焼きになって、夕食に出てくることはないだろう。哺乳類であることに感謝した。「ありゃあ、まだダメだな」とは言ったけど、簡単に出来るよりも、彼がやっとの思いでプールサイドに上がるような、ギリギリ精一杯の達成が彼をたくましくするのだろうなと、思う。思い出したついでだ。今夜は「おしゃべりな卵焼き」を寝る前に読んであげることにする。

お餅つき|かぞくのことば史017

かぞくのことば史(2019・1・17)

午後の眠気に襲われている。ついにお正月に痛めた背中を病院で診てもらうことに決めて、整形外科にきたものの、待ち時間は長い。しかし眠気の原因は、待ち時間ではなく、餅つきだ。そう、私は朝から餅をついた。りんちゃんの幼稚園では、恒例の餅つきで、毎年参加している。園児の前で沢山の餅をついて、一緒に記念のぺったんこをして、子供たちと餅に味をつけ、たらふく食べる。疲れはついてくるが、子供たちとの触れ合いや、パパ同士の交流もうっすらしたものながら、楽しみになっている。ただ今年は背中のせいで疲れの反動が大きく、病院の待合所は、睡魔との格闘場になっている。

まぶたが閉じる前に一気に書くと、餅つき行事への参加は今年で3回目。私もかなり小慣れてきている。

しかしながら、パパたち経歴の中には、上の子で3年間、下の子で3年間末っ子でもう1年の7回選手なんていうレジェンドや、先生方から名指しで頼りにされている、エキスパートがいる。最も注目すべきは、先生方から名指しで頼りにされている、エキスパート、Kさんである。

か、かっこいい……。

半分憧れながら、モチのエキスパート、Kさんの技を盗むため、一昨年、去年と私は身分相応、最前線には立たなかった。大体Kさんは、幼稚園に早めに入り、すでに餅つきのコンディションを確認している。この時点で、餅つき会場はKさんのフィールドになっており、後からくるパパ達はKさんに一目置くとともに、空気に飲まれぽこぽこ杵を着いているうちに行事が終わってしまう。それでは意味がない!!!私も少しでもエキスパートに近づき、子供にいいところを見せるのだ!意気込んで、今年は早めの会場入り。すると臼の周りを囲む、Kさんはじめレジェンドたちがいた。

「おはようございます!もう始まってるんすね」

できるだけ自然に、それでいてほんの少し近めの距離で輪の中に入ると、挨拶がかえってくる。

「おはようございます。」

しゃ、しゃべった!!ついにモチレジェンドと話すことができた!(挨拶しただけだろうに笑)今後のモチベーションにつながった。来年から下の子がこの幼稚園に入園する。つまりはあと3回餅をつくことになるのだ。私もレジェンドになるのだと心に誓った。

(ピンポーーーーーーン) 私の名前が呼ばれた。診察室1番に入るようにとのこと。

「はい、今日はどうされました?」

「あ、お正月に背中を痛めてしまって、それがずっと治らなくて」

「ふむ、ずっと痛いんですか?」

「はい、それで今朝、餅を臼でついてきました」

「なにやってるんですか?」

「………………。」